今回は、「樽酒(たるざけ)」の歴史について紹介いたします。
樽酒(たるざけ)とは
樽酒とは、日本酒を樽に入れ数日間ねかせたものです。
味わいは特有の香味とシャープなキレ、樽由来のタンニンがキリッと締まった印象を与える人気のお酒です。
結婚式や新年のふるまい酒、会社などの歓送迎会、お祭りなどお酒のあるシーンを鏡割りの演出で盛り上げます。
お酒が樽に入ったものと、ビン詰めされたものの2種類あります。
樽酒のはじまり
樽酒のはじまりは樽がお酒を運ぶための容器だったことからです。
江戸のころになると北前船や樽廻船などの舟運が盛んになりました。
お酒を樽に詰めて舟に積み込み、目的地まで何日もかけて運ばれました。
特に有名なのが上方から江戸への下り酒です。
1856年 その数なんと 90万〜100万樽!ものすごい量です。
お酒以外にも
下り酒以外にも下り醤油や酢、焼酎、味噌、絵の具の染料、漆、薬、松前産筋子や数の子、関東近郊からの地廻り酒など、一年間で約500万樽が江戸へ入津しています。
酒樽の形状
酒を運搬するための酒樽の形状は中央部分がやや膨みを帯びています。
これは酒のもれを防ぐとともに航海時、酒のゆれを最小限におさえる効果もありました。
舟に積みこまれた樽の数は千石積舟で1600〜2000樽!
やや丸みをおびた形状は航海の安全にも寄与していました。
江戸で愛された樽酒
上方から江戸へ入ったお酒は樽に入ったまま取引されました。
4斗樽(容量72L)が2樽で一駄(一頭の馬が運ぶ荷物の量)、問屋と仲買人の取引は5樽を最低数量としていました。
専用の樽をもつ家もあり空になると酒屋が酒を満たしていました。
当時の江戸の人口を100万人とすると一人あたり毎日欠かさず3合程度の お酒を嗜んでいたそうです。
江戸前寿司を肴に杯を重ねていたのでは・・・と思いをめぐらせます。
このように下り酒(樽酒)は江戸の庶民の間で大いに浸透していました。
樽酒の成分
樽からお酒へ移行する成分として代表的なものはテルペンやノルリグナンです。
- リラックス効果を高め潰瘍を防ぐ
- 特に鍋物やお刺身など魚介類と相性良し!
- 口の油分を洗い流しスッキリさせてくれます
お酒単体より食事と楽しむことをお勧めします。
樽酒見かけたら是非お試しください。
個人的には樽に入るお酒の銘柄がもっと増えたらいいなと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございます。